小さいは正義!

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小さいは正義!

 見上げる位置にある一枚だけ折れ曲がったブラインドを、両手を上げて正しい向きに直す。白いラインが綺麗に並んだ。 「今日もありがとねぇ」  川合先輩のゆっくりとした声が、俺の心をほっこりと温める。 「どういたしまして。この高さが生かせるんですから、使ってやってください」 「本当に高いもんね」  うふふと笑う声にまた癒やされた。  川合ひなた先輩。ひなたって名前の通り日だまりみたいなぽかぽかな気持ちにさせてくれる癒やし系。中学生に間違えられたことがあるっていう驚きの童顔の持ち主だけれど、俺より四つ年上だ。この間は「アラサーじゃなく、もうすぐただのサーになっちゃう」って松方先輩と話していたけど、なんだよ、ただのサーって。可愛すぎる。本当に天使。川合先輩マジ天使。 「私も進之助君みたいに身長が高かったら良かったのに」 「駄目ですよ! そんなの」  胸元で聞こえた声に速攻で反論する。先輩は桃色の頬をぷうと頬を膨らませ、俺を見上げてきた。その顔はハムスターか? ハムスターの天使なのか? 「えー。どういう意味よ?」 「そんなの決まってるじゃないですか。小さい方が可愛いからです」 「!!!」  俺は力強く言い切って自分の席に腰掛けた。小さいは可愛い。可愛いは正義。
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