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「よしっ!決まりねっ!泡沫夢幻堂だって!直ぐ隣が古い神社で縁結びの神様で評判らしいよ。ついでに御守りとかも買おうよ!」
「泡沫夢幻堂?へぇ…なんか雰囲気ある名前だね。素敵!いいね」
「ちなみに他の女子は舞子体験の方に行くってさ!何か舞妓姿のまんま散歩もできるらしいよ」
「え?亜里沙はいいの?舞子の方がいいんじゃ?」
「え~?いいのいいの!私は扶久と一緒ならどっちでもいいから扶久が良いほうに合わせるからっ!」
「あ、ありがと…」
…こういうところ、亜里沙は本当に優しい。
何かと私の気持ちを汲んでくれるのだ。
美人で可愛くて性格まで良いなんてどこの主人公よ?と問いたくなる。
私はさしずめ『モブの友人A』と言ったところだろう。
それこそ平安絵巻の物語とかならば亜里沙は当然、お姫様で私は側仕えってとこよね。
そう、そう思っていたのである。
修学旅行のあの日、運命の歯車が弾けて跳んだあの日まで…。
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