弦の日常

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冷蔵庫からストックしている白飯とパックの野菜ジュースを取り出す。タッパー入りのごはんは電子レンジに入れ、温まるのを待つ間にフライパンで目玉焼きを作りつつ、野菜ジュースをグラスに半ばまで注ぐ 我ながら、無駄のない動きだと思う。 寝室から流れていたDAYAの曲が終わった。それから程なくして、弦はダイニングテーブルの上に、目玉焼き丼と野菜ジュースを置き、リモコンでテレビをつけた。 醤油さしを手に取り、二滴、黄身の上にかけて食べ始める。 テレビのニュースに耳を傾けながら、ヨガか、と呟いてため息を吐く。 どうせヨガ教室に来る大半が女性だろう。野郎二人で行って悪目立ちしないだろうか。自分ひとりで参加するよりはマシだと思うが。  目玉焼き丼をさっさと食べ終え、弦は顔を洗って歯を磨いた。スーツに着替えて、出かける準備も済ませる。が、家を出る時刻までだいぶ時間があった。  弦は寝室に行き、散らかった部屋を片付けることにした。玄関入ってすぐのダイニングキッチンはそこそこ綺麗にしているが、寝室はかなりひどいことになっている。  フローリングの床は積み本だらけだし、部屋のあちこちにあるデッドスペースにはゴミくずが落ちていて、うっすらと埃も溜まっている。とくにベッドと壁の間にある三角形の空間が使えなくて困る。ゴミ箱も置けない。     
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