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「のりこちゃん、元気だったかい?」
私はおばあちゃんを抱きしめた。おぼえのある温もりに泣きそうになる。
「さみしかったよ。おばあちゃん」
「大丈夫。これからはずっと一緒だよ」
じゃあ、行こうか、と手をつなぎおばあちゃんは歩きはじめた。
わたしは初めぼんやりと言われたままについていった。
すすむ先は遠すぎて真っ暗になっている。これはどこにつづいているんだろう。
不安から足がすくんできた。足を止めた私におばあちゃんがふりかえる。
「どうしたの? のりこちゃん」
「え、いや、べつに」
わたしが歯切れ悪くこたえると、おばあちゃんは手を引っ張った。
その手は温かいというよりむしろ熱い。
その焼けるような熱さにわたしはその手をはらってしまった。
「おばあちゃんのこと、嫌いになったのかい?」
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