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―――――――そこには、人骨が敷き詰められていた。
「ひっっ!!!」
いくつもの頭蓋骨や、人骨が散乱していた。
茶色く変色したものや、新しいのか真っ白いものもあった。
腕が、足が、鎖骨が、骨盤が、頭が、指が、すべての身体の骨がそこにあった。
この人骨が誰のものなのか、いつのものなのかサクラにはわからなかった。
そのとき、祖母の話がサクラの脳裏を掠めた。
―――――あの山には近づいてはいけないよ。神隠しにあってしまうから。
さくらさまはこういっていた、気まぐれで彼女を助けたと。
つまり、気まぐれを起こさない場合、彼はどうしていたのか。
何百本の木、あれは、つまり。
気付いてしまえば、もうサクラは走るしかなかった。
一刻も早くここから逃げ出したかった。
頭蓋骨や人骨を踏みつぶし、砕けても、サクラは走った。
走って走って走りぬいて、最後にたどり着いた場所は、木の根でふさがっていた。
「やだ、どうしてあいてないの!?お願い、ここから出して!!」
何度も何度も木の根を叩くが、根は微動にしなかった。
半狂乱になりながらもサクラは叫んだ。
その声は、どこにも届かないとわかっていながらも。
「彼女の想いを尊重してたら、彼女はどこかへ行ってしまった。すぐに彼女をこの世界に引きずりこめばよかったって、僕はずっと後悔してたんだ。だから、サクラ、君はすぐに僕のものにする。」
いつのまにか、さくらさまがサクラの後ろに立っていた。
さくらさまはうしろからサクラを抱きしめ、その首筋に顔を埋めた。
彼女の温かさを、奪い貪ろうとするかのように。
「僕は君と新たな縁を結ぶ。いや、もう結んだんだよサクラ。君はこれからずっと僕と一緒だよ。永遠に、この桜が枯れるまで。」
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