生と死

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 毎日が必死だ。  生きるために食料を探し、寝床を確保し、奴らにばれないように日々を過ごす。  夢や希望?そんなの考えてる余裕なんてねぇよ。  そう独り言を呟きながら日々を過ごす。  お前、そういえばあそこどうだった?  友達でもなんでもない、あえて言うなら同類だ。俺に話かけた。  あそこ?あぁ、そう大したことなかったよ。特に美味いものもなかったし。  俺は周りを見ながら同類に答えた。  あそこは、キレイ過ぎるからなぁ。何も落ちてなかっただろ。  同類はそう言いながら、俺から離れていった。  どうでも良いこと、話ししやがって。  どうでも良い世間話が俺は大嫌いだった。  同類がいない場所に行き、俺は静かに息をする。  何故生きているか?これからどうするか?自分の未来は?  そんな事を考えてなんになる?  他の奴らは何を考えているんだろう?いや、そんな事想像したって飯にありつけるわけじゃねぇ。  誰にもバレずに、息を潜めて、静かに生きていくしかない。それが俺の生き方なんだ。 「あ、ゴキブリ!」  得体の知れない巨大なそれは俺を見て何かを叫んでいた。  ばれた。  巨大なそれは何かをもって俺を追いかける。  俺は身体中に汗をかきながら逃げる。  生きる為に。生きたい。夢や希望がなくても。生きていたい。  そう思いながら俺は逃げ回った。 「ゴキブリってホントすばしっこいよね。まじで苛つくんだけど」 「ちゃんと処理してよ!ガムテープで捕ってね。叩くと壁が汚れるから」  巨大なそれは2ついるようだ。それぞれが俺の事を話ししているらしい。  うるせぇ奴らだ。  俺は自分の身体がちゃんと動くか確認した。6本の足がちゃんと動くか、触覚に異常がないか確認した。  大丈夫だ。まだ行ける。  羽を少し動かしながら俺は次の居場所を探す。  生きて行かなきゃいけない。夢や希望なんてもちあわせてないが。俺たちが生きていくために。
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