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卒業論文
パソコンのスクリーンは半分から下が白く光っている。
ここから先、何を書こうか悩み続けて、書いては消して、書いては消してをさっきから繰り返し、そして止まった。落としどころが見つからない。
年明けに提出期日が設けられている卒業論文。大学は28日を最後に年内は閉まってしまう。そして、あと15分で27日が終わる。
年内に仕上げて地元に帰りたい。そして、学生生活最後の年末年始を満喫したい。そのためには、今日、明日で論文を仕上げておきたいところだったが、完全に手が止まってしまった。
今日はもう帰って、明日やるか。いや、明日やったところで書けるとも限らない。でも残ってても書ける気がしない。悩みが内容から帰るかどうするかに変わってしまっている。
「ため息」
「え」
「さっきから多いよ。幸せ逃げるよー」
声の方を向くと、にやりと笑う顔。
「さっきから指も止まってるみたいだし」
美希は指先をくるくるっと回してぼくの止まった手を囲むように指さす。
「考えがまとまんない。完全に止まったわ」
「そりゃため息だね」
あちゃー、という感じにリアクションをとりながら美希は笑った。つられてぼくも苦笑いをする。
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