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「美希はどんな感じ?」
ぼくの問いかけに美希はふっふっふ、とわざとらしく不敵な笑みを浮かべて、マジでヤバイ、と一言を返した。
見て、と画面を指さすから、ぼくは立ち上がって美希の後ろから画面をのぞき込む。画面は文字でぎっしりだが、問題はページ数。現在26項となっている。うちの卒論は下限が6万字、40項と言われていたから、まだだいぶ書く必要がある。
「改行とかぎかっことかでどうにかなんないかなあ」
「読書感想文じゃあるまい」
なつかしー、と言ってから、はあ、と美希はため息をつく。そのあと逃げちゃう逃げちゃう、と両手で自分の口をふさぐ。
やる人がやるとあざといぶりっ子の動きになるんだろうけど、美希がやるとコミカルな感じになる。美希は初対面の時、鈴木はたくさんいるから美希って呼んでください、と言って自己紹介をしていた。そして、そのまま美希と呼べてしまうような接しやすさが美希にはあった。同じ学科に別の鈴木はいなかったけれど。
立ち上がったついでに、とグイっと伸びをしてみる。すると全身が凝り固まっていたようで、パキポキと腰や肩が音を鳴らす。
いいね、と美希も立ち上がってグイっと伸びをする。
「んー。休憩」
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