「不器用な男」と「意地っ張りな女」

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「不器用な男」と「意地っ張りな女」

「結婚しよう!!!」 何回、頭の中で唱えただろうか。 向かいに座っている彼女に伝えたいのに、なかなか口に出せない俺は、どうしてこんなに不甲斐ないというか、不器用なのだろうか。 付き合って3年、彼女は明日が誕生日。 友人関係の時から、彼女は言っていた。 「30歳までに、プロポーズされるのが夢なんだ」 そして、彼女の夢を叶えるなら、今日が最終リミットになる。 あぁ、参った! さっきから、会話が続かない。 そりゃ、そうだ。 さっきから、俺が返事出来ていないからだ。 今日という日は、俺の人生の歴史に大きく刻まれる、この時の為に都内の高層階の高級レストランを予約した。少し予算外だったが、この大きな大イベントには、もってこいの戦場だ!彼女もきっと喜んでくれているはずだ。 場は整っているのに、 場は整っているのに、 俺の気持ちが整っていない! さっきから乱れっぱなしだ! くそ、俺は一体何してるんだ! ふと、彼女の顔を見ると、何やら俺の顔を凝視している。 何だ、何なんだ! 何かいけない事をしたか! 何か不満そうな表情をしているぞ! 彼女が何か言おうとしている! やめてくれ、聞きたくない! 何か嫌な事を言おうとしているのは、お前の顔を見ればわかっている。 そして彼女がゆっくりと、口を開けた。
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