平々凡々

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 今でも、何度も、夢に見る。夢に見るたび全身にぐっしょり汗をかく。 「学校に行ったら、蛇の赤ちゃんが、私の机の上で死んでたんです。頭、潰されちゃってたから、たぶん、誰かに殺されちゃったんだと思う。その蛇の赤ちゃんは、私が蛇を好きにならなかったら、きっと生きていられた子で、そう考えたら急に、私、今まで隠していたの、すごく無駄で、無意味で……好きになっちゃったのが間違いだったって、とにかく、もっと普通にならなくちゃって、普通のものを好きにならなくちゃって、そう、思ったんです。だから普通になるまで、学校には戻らないようにしようって、思ってます」  だから私は、普通になりたい。 「ありがとう、話してくれて」 「……いえ」 「じゃあ、えみるちゃんに、プレゼント」 「え……、何ですか?」 「普通なんてないのが、普通なんだよ」 「え……?」  私は唖然としてしまう。先生の言っていることがわからない。     
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