平々凡々

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 普通って何ですか? 私は普通ですか? 私はどこがおかしいですか? 私はどうして、うまく普通になれなかったんですか? 誰かを傷つけちゃった私は、二度と普通にはなれませんか?  先生はそういう、答えるのが難しいだろう質問に、いつも真摯に向き合ってくれた。ちゃんとした答えが出たことはほとんどなかったけど、私は先生とそういったことを考える時間が、とても楽しかった。  先生は不思議だ。私の疑問は一人でじっと考えていると、胸が苦しくなってつらくなってしまうものなのに、先生と話していると、それだけでなんだか安心して、考えたいこと、不思議なこと、全部を冷静に考えられた。  だから、先生の質問なら、どんなことでも答えたいななんて、生意気かもしれないことを考えた。 「どうしてえみるちゃんは、普通になりたいの?」  ……それは、私にとって、「どうして教室に入ってこないの?」という質問と、ほぼ同じ意味合いだった。相手が先生じゃなかったら。想像するだけでぞっとした。 「……先生、そういうの、とっくに知ってるのかと思ってしました」     
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