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「……私、私が悪かったって思ったから、蛇が好きなこと、ずっと隠すようになったんです。誰にも、お母さんくらいにしか知られちゃいけないんだって、ずっとずっと秘密にしようって、決めたんです。それで、学年が上がったら、あの子も学校に来るようになって、あのこと、謝りたかったけど、避けるから、きっと会っちゃいけないんだって思って。だから、私もあの子を避けるようにして、私なりに頑張って……」
頑張っていたなんて、私が言ってもいいの?
躊躇が唇を閉ざした。でも先生は、「うん」と優しい相槌をくれる。先生の前でだけは、言っていいんだ。
「頑張って、いたんです」
「うん」
「でも……うまく頑張りきれなくて、私、あの子と廊下でぶつかっちゃったんです。ごめんねって謝ろうとして、顔を見て、あの子、あのことがトラウマになっていたみたいで、私の顔を見るなり、泣き出して、休み時間中だったから周りにたくさん人がいて、なんなだなんだって、大騒ぎ。……次の日には、私があの子の蛇嫌いを知っていて、蛇を使っていじめていたことになってました」
どうして、そんなことになったのだろう。あの子が、そんな風に話したのだろうか。わざとじゃなかったって、私のお母さんはちゃんと説明してきたよって言ってたのに、それがあの子に届かなかったんだろうか。……いくら考えてもわからなくて、そうやって私を非難する人たちに、いろいろ訊こうとした。でも私の言葉は全部、生意気な口答えになった。
「……嫌だね」
「……はい、すごく嫌だったし、それに、つらかったけど、でも、一番つらかったのは」
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