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「ねぇ、おじさんは残留思念って知ってる?」
「オカルトの話は学校でしろよ」
平日真昼間の公園。
木陰にあるベンチで煙草をくゆらせる俺に、一人の女子高生が問いかける。
「あー、おじさん、そういうの怖いんだぁ!」
「るっせぇ。ってか学校行けよ!」
「常識人ぶらないでよ。おじさんも学校サボってたクチでしょ?」
「俺はマジメでしたー」
「あぁ、小心者そうだもんね」
「……」
言いたい放題でけなしておきながら、女子高生はニコニコ笑いながら俺の隣に当然のように腰掛ける。
俺は諦めのため息を漏らしつつ、煙草を携帯灰皿に押し込んだ。
俺のオアシスだった昼休みの公園は、この女子高生に出会った時から、彼女に侵されている。
彼女と出会ったのは、数日前の真夜中、残業で終電間際になった帰り道だ。
近道に公園を横切ろうとしたら彼女が制服姿で昼間の俺の定位置にいた。
春先で昼間は暖かいと言えど、日が落ちればまだ寒い。
俺なんかスーツの上に春用のコートも着込んでいるのに、女子高生は膝上までのスカート丈で膝から下を晒している。
それがあまりにも寒そうに見えたせいで、思わず着ていたコートを彼女の足に掛けてしまったのだ。
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