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つつっ
ベッドから体を起こすと鼻水が一筋たれた。
「やだ、みっともない」
朋美は慌てて枕元のティッシュで鼻をかんで立ち上がった。隣のベッドはもぬけの殻。すでに部屋は心地よく温められている。
簡単に洗面をして、化粧水を叩きつけ、キッチンへいく。大きな冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出して一口飲んだ。冷たい水が喉から胃のなかへ一直線に落ち込んでいく。乾いて熱をもった身体が心地よく冷やされ、頭の芯が覚醒する。朋美にとって大事な毎朝の儀式だ。
さてやるか。
大きく伸びをすると大きな冷蔵庫の前に戻って、飲みかけのペットボトルを戻し、ホーロー引きの保存容器を4つほど取り出した。
「?」
どうもだるい。職場では怪我や病気のために欠勤者が重なっており、そのフォローのために朋美にまわってくる仕事が1.5倍くらいになっている。疲れが溜まっているのだ。今日は予定を変更して、簡単なやつにしよう、と決めた。
コーヒーメーカーには朋美のために二杯分ほどが残されているが、もう時間が経ちすぎて焦げたような味になってしまっているだろう。朋美はため息をつく。だるい。しばらくキッチンの椅子に腰掛けてぼんやりしていた。
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