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「いくら政略結婚でも、結婚はおままごとじゃない」
結婚がおままごとでないことぐらい、わかっているつもりだった。
でも、和樹さんの行動と言葉は衝撃的だった。
「好きな男とは別の男に、身体を好きにさせるということでもあるんですよ。あなたはそれでいいんですか?」
ずっと会い続けていながら、宏樹さんは一度も私に触れようとしなかった。
そのことに疑問を感じてはいたけれど、宏樹さんに聞けるはずもなく、いずれ結婚するのだからと考えることを避けてきた。
そんな私にとって、囲いを破って入ってきた和樹さんは、初めて見る〝男〟だった。
でも、さらに言われた言葉は、もっと深く鋭く、ナイフのように私の胸に刺さった。
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