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その日を境に、新郎だけを挿げ替える形で私と和樹さんの式は粛々と準備が進められた。
結局、和樹さんが異議を申し立てたのはあの夜の一度きりで、決定事項となってからは一度も怒りを見せなかった。
でも──。
鏡の中の自分を見つめる。
着ているのは純白のウエディングドレスだ。
試着室の外で待ち受ける彼がこの結婚を望んでいなかったことは忘れられるはずもなく、心の髄まで染みている。
「宮瀬様、お待たせ致しました」
試着室を出ると、担当者の声で、椅子に腰かけていた和樹さんが立ち上がる。
私は自信なく、そっと目を伏せた。
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