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でもそのあと私は迅速に行動した。
ショックが大きすぎる時というのは、防衛本能が思考を止めるものなのかもしれない。
何も考えず静かに後ずさり、衣擦れの音がしないよう気をつけて自分の控室に戻った。
〝ハズレ婚〟──。
止めていた息を吐くのと同時に、動き始めた感覚の中で衝撃的な言葉が再生された。
これがこの結婚の現実。
これが彼の本音。
スツールに腰かけようとして、ドレスの布で見えず無様に尻餅をついてしまった。
落ち着いて、落ち着いて。
床に座ったまま額に手を当て、呪文のように唱えた。
思い出そう。
最初からわかっていたことだ。
別に今初めて知ったことではない。
だけど宏樹さんの失踪を知らされた時と同じぐらい、もしかするとあの時以上に、私は衝撃を受けていた。
この二か月で二人の関係はわずかでも前進してきたと思っていたけれど、やはり悪夢は良夢に変われないのだ。
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