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頭の中はまだ混乱している。
〝ハズレ婚だな〟──氷のように冷たい言葉と、炎のように熱いキスの感触。
どうしても鎮められない胸のざわめき。
短い通路をただ前に向かって歩くだけなのに、会社の事情やさまざまな思惑を抱えた参列者に囲まれたバージンロードは、まるで向かう先の見えない広い海に漕ぎ出すように心細く感じる。
彼の本音を聞いてしまったにも拘わらず、和樹さんの腕の力強さだけが確かなものに思えた。
〝政略結婚でも、結婚はおままごとじゃない〟
今夜、私はこの人のものになるのだろう。
たとえそこに愛がなくても。
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