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いつのまにかコーヒーメーカーの音が止まっていることに気づき、マグカップにコーヒーを注いだ。
無意識に二人分淹れていたらしく、ステンレスの保温サーバーにはまだたくさん残っている。
もしじきに和樹さんが帰ってきたら一緒に飲めるかもしれないという願いを込めて彼のマグをお湯で温めた。
自分のコーヒーは温めたミルクでオーレにすると、私は湯気の立つマグを持ち、リビングの窓から外を眺めた。
初夜のホテルほどではないけれど、さすが立地が優れているだけあって夜景はとても綺麗だった。
無心に夜景を眺めていたはずなのに、いつのまにか私は和樹さんのことを考えていた。
毎晩、彼はどこで食事しているのだろう?
会社の社員食堂で?
それとも外で誰かと……?
私は彼のことを何も知らない。
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