籠の鳥の孤独ー1

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「披露宴の間、ろくに食べられていなかったようですね」 テーブルには披露宴と同じメニューと、事前に選んだ夜食メニューが用意されている。 さらにホテルからのプレゼントということでシャンパンとチョコレートも添えられていた。 何もかもがカップルの甘い夜を演出する空間だ。 なんだか周囲からけしかけられているような気分になる。 「あの、その前に、着替えてきます」 さすがに裾を引きずる深紅のイブニングドレスのまま食事する訳にもいかず、私は彼に断ってから続きの部屋に入った。 豪華で大きなベッドを前に一瞬立ちすくんだあと、バスルームに入る。 ところが、そこで問題が発生した。 背中のホックを外せないのだ。 散々奮闘した末、私は途方に暮れてリビングに戻った。
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