籠の鳥の孤独ー1

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和樹さんはソファーにもたれ、目を閉じている。 「あの……」 おずおずと声をかけると、和樹さんは目を開けて、まだ着替えていない私を不思議そうに眺めた。 「せ、背中のホックを外していただけないでしょうか」 いきなりの試練。 男性との親しいシチュエーションの経験が皆無の私には、死ぬほど恥ずかしいセリフだ。 最後の方は消え入りそうな声だった。 彼は私が〝好きでもない男〟を誘っているのだと誤解して、余計に軽蔑するかもしれない。 でも彼に頼る以外、この窮屈なドレスを脱ぐ方法がないのだから仕方がない。 俯いて直立していると、和樹さんは立ち上がってこちらにやって来た。
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