籠の鳥の孤独ー2

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「確かに結衣さんは世間知らずかもしれませんが」 「ごめんなさい」 「謝ったら駄目ですよ。罪でも何でもない。あなたは目隠しをされて育てられたようなものだから」 また謝りそうになり、言葉を飲み込んだ時だった。 彼の口から思いがけないことを言われた。 「貴重なものだと思います。優しくて純粋で」 これは褒められたのだろうか? まるで独り言のような口調だったので、わかりにくかった。 でも、もしそうだとしたら、彼から褒め言葉をかけられたのは初めてだ。 たったこれだけの言葉なのに、顔から蒸気が出ているのではないかと思うほど頬が熱い。
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