籠の鳥の孤独ー2

14/26
前へ
/26ページ
次へ
車は夕暮れの繁華街を通り抜けていく。もうすぐ私たちのマンションが見えてくる。 「あの……今日の夕飯はビーフシチューで、昨日から煮込んでおいたんです」 台詞が唐突すぎたかなと悔やんでいると、横から嬉しい返事が聞こえた。 「楽しみです」 嘘でも嬉しかった。 今日の進歩がもう一つ。 彼に手料理を食べてもらえること。 一つ、また一つ。 先の見えない結婚生活の中で、私は懸命に前進しようとしていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

507人が本棚に入れています
本棚に追加