籠の鳥の孤独ー2

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*** 二週間の結婚休暇が明け、出社すると、あちらこちらから祝福の言葉がかけられた。 結婚報告のハガキに使えればと披露宴の画像データをくれる人もたくさんいて、ずっと不安と寂しさを抱えていた私は同僚たちの笑顔に救われるような思いがした。 「結衣ちゃん!」 「あ、野々花先輩!」 週半ばの定時を少し過ぎた廊下で、私用のマグを洗おうとパントリーに向かっていると、後ろから野々花先輩に肩を叩かれた。 嬉しくてつい大声になってしまう。 「改めて、おめでとう。ウエディングドレス、綺麗だったわよー」 「出席してくださってありがとうございます」 「引き出物が豪華でびっくりしちゃった。さすがよね」 「ちょっと重かったんじゃないですか? カタログとかは親が許してくれなくて。すみません」 あれは宏樹さんと両家の親の総がかりで選んだものだ。 とにかく格式をアピールしたい親たちは、もらう側には嬉しいカタログギフトでは納得してくれなかった。
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