籠の鳥の孤独ー2

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先輩と落ち合うと、私たちは会社から少し離れたカフェに行った。 会社の付近の店は同じ社の社員だらけで、壁に耳あり障子に目ありなのだ。 「新婚生活はどう?」 今週この質問を何度受けたことか。 理子以外は誰も私たちの実態を知らないので、その度に私は幸せそうに笑ってやり過ごしていた。 でも野々花先輩は別だ。ずっと仲良しだったし、それに先輩は和樹さんが仕事ばかりしていることを一番よく知っている。 「和樹さん、お仕事が忙しいんですね」 「やだ、本部長じゃなくて和樹さん呼び? さすが新婚さん」 「あっ、ごめんなさい」 まず冷やかしから入った先輩は、それから少し心配そうな顔になった。 「ほとんどお家にいないんじゃない?」 「そうなんです」 やはり先輩にはごまかしようがない。
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