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「どうしてこんなに忙しいんでしょうね? 結婚前はここまでじゃなかったと思うんですけど」
「もうすぐ専務に昇格するから、それもあるわよね」
「えっ?」
思わず驚きの声を上げてしまった。
専務に昇格なんて、私は聞いていない。
「えっ、結衣ちゃん知らなかったの?」
先輩も驚いている。
当然だろう。仮にも私は〝妻〟なのに……。
「うっかり聞き漏らしてしまったんだと思います。バタバタしてたし」
あまりに情けないのと、私たちの現状を理子以外に知られてはならないという重圧で、私は引きつりながら何とかごまかした。
「いつ決定したんですか?」
「内示は少し前かな? 月末の株主総会で正式決定よ」
「そうなんですか……」
それが終われば、少しは早く帰宅できるようになるだろうか。
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