籠の鳥の孤独ー2

22/26
496人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
湿った空気を払いたいのと、私たちの結婚が宮瀬を守るためだということに立ち返り、私は明るく笑ってみせた。 「いろいろありましたけど、和樹さんがいるから会社は大丈夫ですね」 「そうよ。本当に頼もしいわよ。近くで見てると仕事ぶりがすごいの」 「そうなんですか?」 私は思わず身を乗り出した。 「惚れ惚れしちゃうわよ。英語も上手いの!」 「知りませんでした……」 まあ、英才教育を受けたのだから当然と言えば当然なのかもしれない。 でも聞いてみたい。 「いいなぁ、先輩。彼が英語を喋るの聞けて」 「お願いしてみたら?」 「できませんよ。ほとんど家にいないのに」 先輩の冗談に笑って手を振る。 私より先輩の方がよほど和樹さんと一緒にいる。 そういう意味でも羨ましかった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!