籠の鳥の孤独ー2

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「先輩は毎晩、本部長が仕事を終えるまで会社にいるんですよね?」 「毎晩じゃないの。さすがに付き合いきれないし。でも、それでも本部長が早めに帰宅したこと、何度かあったと思う」 「……」 「付き合いもあるんじゃない? 男の人っていろいろあるんだろうし」 「そうですよね」 笑おうとするのに顔が引きつる。 結婚したと言えるようなことは、私たちの間にはほとんどない。 一度も抱いてもらえないなんて……。 〝結衣さんの気持ちが整うまで〟と言われても、どうしていいのかわからない。 「新婚さんって、止めても早く帰っちゃって、寝不足で会社に来るものなのにね。さすがクールな本部長といえばそうだけど」 普通は毎晩のように愛し合うものだということ。 だけど私たちは普通じゃない。 政略結婚だからという理由以上に、重く厚い壁がある。
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