籠の鳥の孤独ー2

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「いずれ社長の妻になるんだぞ。体裁が悪いだろう」 「でも、もう少しいたいの。新しい部署はカウンセリングの勉強もできるし……」 「まだそんなことを言っているのか」 大学で心理学を学んでいた時、福祉関係の仕事に進みたいという希望を持ったことがある。 恵まれた環境しか知らない私にとって、現実の社会はショッキングだった。 何かしなければと強く思ったのだ。 でも当時それを口にすると父に厳しく叱られた。 理由はさきほどの父の言葉と同じだ。 他人に迷惑をかけるなと言われると、私は黙ってしまう性質だった。 でもそんな理屈に合わない理由で諦めてしまった自分を恥じる気持ちは奥底にずっと残っている。 「周囲も迷惑だろう。逆の立場になってみなさい。次期社長の妻に厳しい仕事を割り振れないだろうが」 お前は仕事している気分になっているだけのお荷物なのだと言われたようなもので、情けなくなる。
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