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「言いたい者には言わせておけばいいんじゃないでしょうか」
和樹さんは微笑んで、膝の上で握り締めている私の拳に手を重ねた。
不意打ちの親密な仕草に驚き、私の顔が赤くなった。
「男女雇用に関して古い感覚の人間はうちの社にはいませんし、世間にいたとしてもそのうち消えるでしょう。兄のこともご心配頂きありがとうございます」
父は何かを言い返そうとしたけれど、赤らんだ私の顔を見ると満足そうな表情になり、お茶をすすった。
父をいとも簡単に黙らせた和樹さんを頼もしく感じ、まるで守られているような心地になった。
話題の終了とともに重ねられていた手が外され、隣をそっと見上げる。
もう少しだけ触れていて欲しかった。
でも、彼の横顔は冷ややかに微笑んで父を見ているだけだった。
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