籠の鳥の孤独ー4

21/21
前へ
/21ページ
次へ
〝あなたの愛は薄っぺらだ〟 だから私は愛を理由にしない。 あなたが信じないものは押し付けない。 「私はあなたの妻だから」 和樹さんを真っ直ぐに見つめてそう言うと、いつも静かな彼の目の奥が強打を受けたように揺れた。 親の操り人形だった私がこんなことを求めれば、軽蔑されるのはわかっている。 他の人を愛している和樹さんに、こんなことをねだるのは図々しいとわかっている。 それでも私は切に願う。 他の人を抱かないで。 私を愛してくれなくてもいい、だから──。 「私を抱いてください」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加