474人が本棚に入れています
本棚に追加
***
その週末、私と和樹さんは宮瀬家の食事に招かれた。
嘔吐したのはあの一晩だけで、胃の調子は何とか元に戻っていた。
でも絶好調とは言い難く、普段通りを心がけていても、演技が下手な私はうまくごまかせていなかったようだ。
「ここ数日、顔色が悪いのでは?」
宮瀬家に向かう車の中で、和樹さんが私を気遣った。
「全然、そんなことないですよ」
わざと明るい声を出す私に、彼が首をひねった。
「そうかな……食欲があまりないように見えますが」
「ダイエットですから、突っ込んじゃダメです」
冗談めかしておどけてみせる。
「そのままでいいのに」
最初のコメントを投稿しよう!