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「宮瀬専務にはね、結衣ちゃんと婚約した当時、恋人がいたらしいの」
当時といっても、わずか三か月前だ。
ショッキングな話だろうと覚悟はしていたつもりだったけれど、それは脳天を殴られたような衝撃だった。
〝ハズレ婚〟という言葉の意味はこれだったのだ。
宏樹さんに婚約破棄された時以上の衝撃で、私はしばらく息をすることができなかった。
「じゃあ、私との婚約のせいで……」
「そう。その人と将来を考えてたって聞いたわ。前の勤務先の人らしいの。だから彼は前の勤務先に思い入れが強いんだって」
相手の女性は披露宴に来ていただろうか?
彼の招待客リストまで頭に入っていないので、披露宴の時のテーブルの顔ぶれを必死で思い出そうとした。
一人女性がいた気がするけれど、顏までは記憶していないし、当然名前もわからない。
というか、顏まで見てしまったら耐えられそうにない。
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