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「追えば逃げるって言うしね。結衣ちゃんの方からそっと距離を置いて、しばらく静観したらどうかなと思う。彼も自分の立場はわかってるから、結衣ちゃんに優しくしてくれてるみたいじゃない? カモフラージュするってことは、別れるつもりはないのよ。きっと時間が解決してくれるわよ」
〝自分の立場をわかっている〟彼が見せてくれる優しさは、愛する人を隠すカモフラージュ。
できるだけ明るい顏になるよう努めて先輩に笑って頷いてから、手をつけていなかったラテを飲んだ。
冷めてしまったせいか、苦みがやけに胃に刺さる。
ラテには前回と同じ可愛らしい小鳥が描いてある。
でも泡はしぼみ、小鳥は曖昧に滲んでいた。
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