籠の鳥の孤独ー4

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彼は今どこにいるのだろう。 誰と居るのだろう。 「う……」 急に目の前が暗くなり、私はリモコンを手にしたままうずくまった。 夕方からずっと違和感のあったみぞおちのむかつきが強くなってくる。 壁を伝ってふらつきながら、やっとの思いでトイレにたどり着いた。 こんな精神状態で、空腹の状態で飲んだ夕方のラテがいけなかったのだろう。 身体が教えてくれたのか、あの時やけに不味く感じたのに、全部飲み干したことを後悔した。 突っ伏して嘔吐しながら、一人で泣いた。 惨めで孤独だった。 それでも今は一人でいたかった。 普通に結ばれた二人なら、こんな時は妊娠を期待するものなのに。 私は一度だって愛されたことがない。 心も身体も空っぽだった。
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