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「寂しいな……」
閉じたパソコンに頬を乗せ、小さく呟いた。
言葉はちっぽけで、私の心は寂しいなんて感情を超えている。
二週間前の夜、和樹さんはとても苦しそうな顔をしていた。
普段から理子ちゃんに「結衣は痩せすぎだ」と指摘されていたし、私の身体や反応はあまり魅力的ではなかったのかもしれない。
一番気になっているのは、行為の流れですら一度も唇にキスしてもらえなかったことだった。
私がキスしてもらえたのは、祭壇の前のあの一度だけ。
寂しさがじわじわと私を苦しめる。
「早く帰って来て……」
目を瞑り、苦しい思いを呟いた時だった。
玄関ドアが開く音が聞こえ、私は飛び起きた。
走るようにして玄関に急ぐ。
「おかえりなさい」
「……ただいま」
「食事は……」
しかし私の笑顔と言葉は、これまで見たこともない彼の姿に驚いて止まった。
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