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「ありがとう。先にお風呂に入ってきます」
「じゃ、お風呂を出られる頃にお粥を温めておきます」
うっかり彼の顔をまともに見上げてしまった私の頬が真っ赤になった。
どうして私の頬は秘密を守ってくれないのだろう。
慌ててまた俯いた私を、彼が見つめているのがわかる。
頬がますます燃えるように赤くなった。
緊張して身を固くしていると、優しい声でそっと呼ばれた。
「結衣」
彼は私を引き寄せ、額に一瞬だけのキスをすると、キッチンから出て行った。
しばらくしてバスルームから水音が聞こえてきた。
〝結衣〟って……。
立ち尽くす私の目からポロリと涙が零れた。
呼び方が変わった。
和樹さん、昨夜のこと、覚えてる……。
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