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『あ、結衣ちゃん? 遅くにごめんね』
「いいえ、お疲れ様です。先輩はまだお仕事ですか?」
『ううん。今日は専務の帰りが早かったから、もう家よ』
すぐに返事ができなかった。
野々花先輩がもう帰っているなら、和樹さんは?
心が揺れたものの、私は何時頃に退社したのかとか、彼を詮索するような質問は飲み込んだ。
彼を結婚に追い込んだのだから、目を閉じて信じることが今の私にできるすべてだ。
先輩は和樹さんが在宅かどうかには触れず、用件を切り出した。
『別に悪い情報じゃないの。彼のことなら何でも知りたいでしょ?』
先輩がもたらしたのは、彼の元恋人には全く関係のない、意外な情報だった。
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