目隠しの愛ー2

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モヤモヤした気分のまま、教科書に顎を乗せる。 妻である私は締め出され、秘書の先輩の方がはるかに彼と世界を共有しているのが不快だった。 「彼、彼って……」 今までは本部長とか専務とか、役職で呼んでいたはずなのに。やけに彼呼びが馴れ馴れしく思えてしまうのは私の僻みだろうか? 〝義務とか義理なんてない方がいいわよね〟 私と和樹さんを繋ぐものは義務と義理。 私の責任が軽くなるということは、すなわち、私の存在意義がなくなるということ。 「言われなくたって、最初からわかってる……」 テーブルに突っ伏して呻いた。 しばらく悶々と突っ伏してから、私は大きく息を吐いて起き上がった。 先輩の言葉尻をいちいち拾って苛々するなんて。
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