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そのあと二人で問題を出し合ったけれど、結果は私の惨敗だった。
さすが、子供の頃から優秀だと言われてきただけある。
「和樹さん、異常です。ロボットみたい」
「それ褒め言葉じゃないね」
くだらない会話をしながら、この時間がいつまでも続けばいいのにと思う。
「実は私、子供の頃、和樹さんと喋りにくかったんです。すごい進学校に行ってるって聞いて、下手に喋ったら馬鹿だと思われそうで」
「嫌われてると思ってたよ。僕の目も見ようとしないから」
「そっちだって」
非日常の世界では普段は言えない打ち明け話も自然にできた。
彼への想いという核心は言えなくても、私たちを隔てる壁を一つずつ崩していける気がした。
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