目隠しの愛ー3

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会社経営において情報の扱いがデリケートであることは小さな頃から見て育ってきたのに、何たるわがままだろう。 経営への理解が私の利点なのに、彼の立場を思いやれないなんて。 それでも拗ねた気分でいると、和樹さんが手招きした。 「おいで、結衣」 内心の濁りを隠し、彼に誘われるまま立ち上がる。 彼の元に歩み寄りベッドに腰かけると、そこからは和樹さんの思うままだ。 「素直だね……」 彼の声が耳をくすぐった。 〝あなたは従順すぎる〟 あの時と今の私は違うの……。 私が望んで従順になるのは、あなただけなのに。 彼の腕の中で、声に出さずに呟いた。
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