目隠しの愛ー3

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「行きたくないの?」 和樹さんが笑って尋ねる。 「高速道路が好きなんです。遠足みたいで、ワクワクするんです。自分じゃとても運転できないですけど」 「教習所で高速講習があったでしょう」 「ボロボロでした。教官が隣で死んでました」 「はは……気の毒な教官だな」 「でも一回で合格しましたよ」 「もう二度と乗りたくなかったんだな」 「ひどい」 話題のついでに、私はずっと彼に相談しようと思っていたことを、勇気を出して切り出した。 「あの……。実は欲しいものがあるんですけど、ちょっと大きな買い物なんです」 「いいですよ。何ですか?」 「運転が下手だって話の流れであれなんですけど、自分用の車が欲しいんです。実は中古でもう見つけていて」 「中古でいいの?」 「就職してから貯めた自分のお金で買いたいんです。中古なら買えるので」
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