目隠しの愛ー3

6/26
前へ
/26ページ
次へ
車に乗りたいなんて親に言おうものなら大反対されるか、賛成してくれたとしても豪華な車をあてがわれるだろう。 でも自分のお金で買うことも大事だし、私は豪華な車より身の丈に合った車の方がいい。 「僕の車があるんだから自由に乗ればいいのに」 「ダメです。私、たぶんあちこちぶつけるし」 「だろうね」 和樹さんは笑いながらあっさり同意した。 「別に車に傷がつくぐらいいいよ。事故さえなければ」 「でも、ダメなんです」 私は意地になって主張した。 「意外と強情だな。行きたいところが?」 「前に福祉関係に進みたいってお話しましたよね。先日から区のボランティアに参加して話を聞いてるんですけど、車を乗りこなせないと仕事にならないって」 「うーん……。そうだろうね、きっと」 行政の救いの手を必要としているのは、駅近の一等地より不便な地区が多い。 また、長期にわたって関わることが多いので、自在な足が必要なのだそうだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

518人が本棚に入れています
本棚に追加