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車に乗りたいなんて親に言おうものなら大反対されるか、賛成してくれたとしても豪華な車をあてがわれるだろう。
でも自分のお金で買うことも大事だし、私は豪華な車より身の丈に合った車の方がいい。
「僕の車があるんだから自由に乗ればいいのに」
「ダメです。私、たぶんあちこちぶつけるし」
「だろうね」
和樹さんは笑いながらあっさり同意した。
「別に車に傷がつくぐらいいいよ。事故さえなければ」
「でも、ダメなんです」
私は意地になって主張した。
「意外と強情だな。行きたいところが?」
「前に福祉関係に進みたいってお話しましたよね。先日から区のボランティアに参加して話を聞いてるんですけど、車を乗りこなせないと仕事にならないって」
「うーん……。そうだろうね、きっと」
行政の救いの手を必要としているのは、駅近の一等地より不便な地区が多い。
また、長期にわたって関わることが多いので、自在な足が必要なのだそうだ。
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