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俺が都会を離れたのが四年近く前。それから泰輔と会わないまま時が流れて、再会したのが一年前。
人工的な灯りがない、だけど眩い星の下で、好きだと言われた。
俺は泰輔の抱擁を拒まなかったし、告げられた想いも突っぱねなかった。
だけど、『受け入れた』とは違ったし、その出来事以来、今日まで会うこともなかった。それでも交流が完全に途絶えていた期間から変わったのは、月に一度くらいの頻度で、十分程度電話で話すようになったこと。
きっかけは、泰輔が俺が監督をしている野球部に野球用具を寄付してくれたことだった。携帯を再び持つようになった直後だったので、電話でお礼を伝えた。その後短い近況報告を互いにして、電話を切る直前に、「今度は、俺から掛けてもいいか」と消え入りそうな声で尋ねられた。
話す内容は大抵、泰輔のプレーのことや、俺のチームの部員の話。
電話で少しだけ話すようになってから、よく考えるようになったのは、俺が昔、この土地から離れる前に泰輔に投げかけた問いだ。
『今のお前と俺ってなんなんだろうな。まだ何かで繋がってんのかな?』
泰輔は答えなかったし、俺の中でも答えは出なかった。
あの時も、そして、今も。
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