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「寒くないか?」
「いや、平気」
泰輔のベッドはロングサイズのセミダブルだった。長身でも窮屈ではないように、通常のものより縦に長い。だけど横幅は男二人が寝るにはやや狭い。
それでも、泰輔はソファで寝るとは言いださなかったし、俺も言わなかった。
だからと言って何か特別な接触があるわけではない。泰輔は俺に指一本触れてこようとしなかった。
泰輔は俺に背を向け、俺は天井に向き合って横になる。
住宅街だからか、まだ十一時台だというのに静かなものだった。車の走行音すら聞こえない。もしかしたら、部屋が防音だからかもしれないけど。
「佑、帰らないでくれて、ありがとう」
俺に背を向けたまま、泰輔がぼそりと言った。
「いや、俺も帰るの、なんか面倒だったから」
それきり会話が途切れて、静寂だけになる。
なかなか寝付けなかった。一時間くらいが経った頃、不意にベッドが揺れた。泰輔が寝がえりを打ったのかと思ったけど、どうやら身体を起こしたみたいだった。
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