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「うわ、びっくりした」
もらった合鍵で解錠し、玄関の扉を開けたら泰輔が立っていた。
「なに待ち構えてんの」
「いや、音がしたから」
「なんだそれ、犬かよ」
泰輔は困ったような顔をした。俺が靴を脱いで部屋に上がるまで、その表情のままそこでじっとしていた。
「ホーム三連戦、全敗したからヘコんでんのか?」
金曜日のナイター、そして土日のデイゲーム。週末の連戦、レオパルズは連敗した。今日の敗戦は帰りのフェリーの中で観たスポーツニュースで知った。
泰輔からの答えはなかったが、追及せずにリビングへ向かう。
「あ、メシ作ってくれたんだ。疲れてんのにごめんな」
キッチンカウンター前にあるテーブルの上には、すでに食事が並んでいた。
「疲れているのは佑輝の方だろ。チームの調子はどうだった? 今日は練習試合だって言ってたけど」
「2―3で負けた。あいつらも気合いは十分なんだけどなぁ」
「この間ファーストの子がケガしたって言ってただろ。大丈夫だったのか?」
「あー、もう全然大丈夫。大したことなかったし、若いから回復も早いし」
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