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疲労もあってか、早朝に泰輔が身じろぐまでぐっすり眠っていた。カーテンのすき間から、朝日が差し込んでいるのが見える。
昨晩、申告通りまったく反応を見せないままだった泰輔の中心は、朝になると健全な三十男にはあって当然の朝の生理現象が起きていた。
「ここ最近は、朝も全然なかったから」
泰輔は驚いている様子だった。
「よかったじゃん。回復の兆しかもよ」
朝勃ちは単純な生理現象だし、性欲は関係がないのかもしれない。だけど、ここしばらく悩んでいた要因が解決し、症状が快方へ向かった可能性だって大いにある。
しかし、当の泰輔の表情は硬く、喜んでいる風には見えなかった。
寝室を出ると、俺はバスルームに向かい、泰輔は日課のトレーニングを始める。シャワーを終えてリビングに入ると、泰輔はまだトレーニングの最中だった。邪魔しないように、声は掛けずにリビングを通ってキッチンを目指す。ベランダへ続く大きなガラス戸からは青く晴れた空が覗いていた。
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