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「佑」
「こら、情けない顔しない。これから戦いに出向く男だろ」
しんみりした空気を掻き消すように、泰輔の肩を叩く。
「バンバン打って、バンバン刺して、ソッコーで試合決めて早く帰ってこいよ。待ってるから」
今度は両手で背中を押して送り出した。
その夜、三十四打席ぶりにホームランを放った男は、ヒーローインタビューのお立ち台にのぼり、「チームに迷惑を掛けっぱなしだったのでこれから挽回します」と静かに語った。
夕飯の調理をしながらその様子を見つめて、なんだか笑ってしまった。
【ＥＮＤ】
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