【番外編】眠らない星《完》

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 ドームを出たあとも収まらない高揚感に、誰かが「俺たちもビール掛けしようぜ!」と言い出す。 「俺はふつうに飲みたい」  もうすでに全員酔っぱらいのようなテンションで、居酒屋に雪崩込み祝杯をあげた。店内では同じくレオパルズのファンが勝利の美酒に酔いしれていて、一緒になって盛り上がった。  まだまだ飲み足りない仲間を店に残して、俺は草壁と先に店を出た。ほろ酔いの草壁を駅で見送って、徒歩で泰輔のマンションに帰宅する。  シャワーを浴びてテレビをつけると、夜のニュース番組をやっていて、ちょうどさっきの試合のハイライトが流れていた。逆転サヨナラの場面に差し掛かると、バッターボックスに立つ泰輔の横顔が大きく映される。じっと打者を見つめる泰輔は、俺の想像よりも、強く射抜くような瞳をしていた。  直後豪快な一撃が映し出されて、まだ冷めない熱に身体が疼いた。  しばらくすると映像が切り替わり、恒例のビールかけの中継が始まる。無礼講とばかりに選手たちがビールを掛け合い、集中砲火を受ける泰輔の姿に思わず笑った。
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