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丹念に濡らされて、溶かされて、何本も泰輔の指を飲み込めるようになった頃、再び身体をひっくり返された。俺の足を抱え上げ、泰輔が熱に浮かされたような表情で見下ろす。強い光を宿した瞳が俺を貫いた。
「佑輝の中に、入ってもいいか?」
情欲に掠れた声は、語尾が少しだけ震えたように聞こえた。
俺は泰輔を呼ぶように両手を伸ばす。
「来いよ」
泰輔は俺に覆いかぶさるように身体を倒した。
「ン……ぅぁ……あ」
その場所に灼熱の楔を打ち込まれたみたいだった。
内臓を圧迫される苦しさと、敏感な部分を肉塊でこすり上げられる快感がない交ぜになって襲ってくる。
初めてではないはずなのに、勝手がわからなかった。この感覚をどうやり過ごせばいいかも、どう動けばいいかもわからない。
いや、違う。経験なんてない。
一方的な欲望に蹂躙されるのでもなく、泰輔を陥れたいがために作った役どころに、無理やりはめ込んだ自分でもない。
自分の意思で、素の自分で、泰輔と繋がるのはこれが初めてだ。
「苦しいか?」
心配そうに泰輔が顔を覗き込んでくる。
「悪い、動くのもうちょいだけ待って」
顔をしかめて素直に告げたら、「やっぱり苦しいんだな」と泰輔が腰を引こうとする。
「う……今……動くな、て」
「っ、すまない」
ぴたりと動きを止めた泰輔に苦笑をこぼす。
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